日本を訪れる外国人観光客数は、季節によって変動します。特に秋から冬にかけての時期には、例年より多くの観光客が訪れ、観光業にとっては絶好の集客チャンスとなっています。2023年度下半期の外国人観光客数のデータを見ると、7月や8月の暑い夏のシーズンよりも、9月以降の秋から冬にかけて観光客が増加していることが明らかです。
この記事では、外国人観光客がなぜ秋と冬によく来るのか、なにを目的にしているのかを解説します。
目次
なぜ秋と冬に外国人観光客が増えるのか?
秋と冬の日本は、自然の美しさや独自のイベントが多数開かれ、外国人観光客にとって非常に魅力的なシーズンです。秋には紅葉が見ごろを迎え、都市部や郊外の観光地が色鮮やかな風景に包まれます。冬になると、スキーリゾートや温泉が人気を集める他、クリスマスやお正月のイベントも大きな魅力となっています。
さらに、夏の猛暑を避けたいという理由から、過ごしやすい気候の秋や冬を選ぶ観光客も多いです。多くの外国人は日本の夏を非常に暑く、湿気が多いと感じます。特に湿度の高さは、日本の夏を体感したことがない外国人にとって、辛いと感じることが多いです。エアコンがないと生活が難しいという声もよく聞かれます。
そのため、観光客にとっては、湿度にわずらわされることがなく、涼しい気候で日本の風景を楽しむことができるのが大きなポイントです。
秋の日本の魅力
秋の日本は、文化的にも自然的にも多くの魅力にあふれています。
紅葉狩り
日本全国で行われる紅葉狩りは、観光客にとって非常に魅力的です。紅葉の美しさは写真映えし、SNSを通じて日本の秋が海外でも広く紹介されることが、この時期の観光客増加につながっています。
銀閣寺や嵐山、清水寺などの歴史的な寺院や庭園と紅葉のコントラストが楽しめるのが魅力で、観光ガイド付きの英語対応ツアーも充実している京都や、外国人観光客が参加しやすいように英語や中国語の案内がついたバスツアーが多い日光、温泉宿でリラックスしながら紅葉と富士山の景色を同時に楽しめる箱根などの場所が特に人気です。
秋の味覚
秋は食材が豊富に採れる季節であり、松茸、栗、さつまいも、カボチャなど、季節の食材を使った料理が楽しめます。外国人観光客にとっては、日本食の奥深さを体験できる絶好の機会です。特にフードツアーや食べ歩きが人気で、日本の秋の味覚を堪能しようと多くの観光客が訪れます。
冬の日本の魅力
冬の日本は、特にウィンタースポーツなどのアクティビティの多さが魅力です。
スキー・スノーボード
日本のスキーリゾートは、外国人にとって大変人気があります。特に北海道や長野、新潟などの地域は、毎年多くのスキー・スノーボード愛好者が訪れます。質の高い雪(パウダースノー)が特徴で、世界中のウィンタースポーツファンを引き寄せています。
温泉体験
冬の寒い時期に、日本の温泉は外国人観光客にとって非常に魅力的です。特に箱根や草津、別府などの有名温泉地では、心身ともにリラックスできる体験を求める観光客が増加しています。また、露天風呂からの雪景色を楽しむ贅沢な時間も、多くの旅行者を引きつけます。
クリスマスと年末年始のイベント
外国人観光客にとって、日本のクリスマスや年末年始のイベントも大きな魅力です。日本ではクリスマスが一大イベントとなっており、街中のイルミネーションやショッピングモールの飾り付けが海外からの観光客を楽しませています。また、お正月は日本特有の文化行事であり、神社での初詣やおせち料理などが人気の体験となっています。
イルミネーションツアー
冬の日本各地で行われるイルミネーションイベントは、観光客にとって必見です。特に東京や大阪、札幌での大規模なイルミネーションは、海外からも注目を集めています。美しい夜景を楽しむために、わざわざこの時期に日本を訪れる観光客も少なくありません。
お正月の文化体験
初詣やおせち料理、日本特有のお正月の文化を体験するために、日本を訪れる外国人も増えています。特にアジア圏からの観光客は、お正月休暇を利用して訪日し、日本の文化に触れることを楽しんでいます。
地域ごとの観光客の傾向
ヨーロッパ・北米からの観光客は、日本の文化や自然、特に紅葉や温泉に強い興味を持っています。また、ウィンタースポーツを目的に日本を訪れる人々も多いです。アジアからの観光客は、クリスマスやお正月を日本で過ごすことを好む傾向にあります。また、温泉やショッピングも人気のアクティビティです。特に中国や韓国、台湾からの観光客は、年末年始の時期に大幅に増加します。
このような違いが生まれる理由については、文化的な背景や歴史的なつながりが影響しています。
ヨーロッパや北米の観光客は、比較的日本との物理的な距離が遠く、異なる文化や自然を体験することに強い関心を持っています。日本の伝統文化、歴史、自然の美しさは、これらの地域の観光客にとって非常に魅力的なものです。また、ウィンタースポーツの人気が高いこれらの地域では、日本の雪質やスキーリゾートが特別な体験として求められています。
一方で、アジア圏の観光客は、日本との地理的・文化的な近さから、頻繁に訪れる機会が多く、日本のショッピング文化や製品に対して強い興味を持っています。日本のブランド品、家電、コスメなどは、アジア圏で高品質と評価されており、特に中国や台湾、韓国では購買欲が高いです。
訪日するアジア圏の観光客は、買い物を通じて日本の製品に触れることが、ある意味で「お得な旅行」として楽しみの一つになっていると言えるでしょう。
また、消費行動や購買力の違いも考えられます。アジア圏の観光客は、比較的短い距離で頻繁に日本を訪れることができるため、買い物が旅行の大きな目的になりやすいのに対し、ヨーロッパや北米の観光客は、長い旅を伴うため、より深い文化体験や観光地の探訪に重点を置く傾向が強いのです。
これらの要因が組み合わさって、ヨーロッパや北米の観光客が自然や文化体験を求め、アジア圏の観光客がショッピングを主な目的とする違いが生まれていると推測されます。
おわりに
秋と冬は、外国人観光客にとって日本の魅力が最大限に発揮される季節です。紅葉やスキー、温泉など、季節特有のアクティビティが多くの観光客を引き寄せます。クリスマスやお正月の文化体験も、訪日客に人気の理由の一つです。
これからの秋・冬のシーズンは、外国人観光客がさらに増加する絶好のチャンスです。インバウンド向けの業界の皆様は、この時期を逃さず、効果的な集客を行いましょう。
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